発熱で歯が痛むのはなぜ?虫歯と他の病気の関係について
風邪などで熱が出たときに、歯の痛みを併発した経験はありませんか?これは細菌やウイルスへの感染によって、免疫力が低下していることに由来しています。ここではそんな虫歯と発熱の関係についてわかりやすく解説します。
発熱と虫歯の痛みが強くなるメカニズム
風邪やインフルエンザは、感染症ですよね。外から病原体が侵入して、身体の中を攻撃します。その際、免疫細胞が応戦することで発熱などの症状が生じるのです。そこで思い出していただきたいのが、「虫歯も感染症の一種」であるという点です。
歯の神経にまで達している虫歯は、ただでさえ「ジンジン」と痛むものですが、そこに発熱が加わると、歯髄を構成する毛細血管の血行が良くなり、神経を圧迫してしまいます。その結果、歯痛が強くなるのです。また、免疫力の低下によって歯髄での炎症反応が高まり、自発痛という急性症状も強まります。
発熱で歯が痛い時の応急処置法
発熱で歯が痛いけれど、すぐには歯科を受診できない場合、以下の方法で応急的に処置をしましょう。
・濡れタオルで患部を冷やす
・市販の痛み止めを服用する
市販の痛み止めを飲む際は、薬剤師の指示に従い、用法容量をお守りください。また、これらはあくまで応急処置なので、可能な限り早く歯科を受診することをおすすめします。
虫歯が原因の発熱について
ここまで、発熱によって虫歯の痛みが誘発されるケースをご説明してきましたが、ここからは虫歯が原因の発熱についてです。
根尖性歯周炎による発熱
重症化した虫歯を放置すると、歯の根の先にまで細菌感染が広がることがあります。これを専門的には「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」といいます。歯根の先端部分に膿がたまり、周囲の組織を圧迫し、やがては発熱、悪寒といった全身症状を引き起こします。
副鼻腔炎による発熱
上顎の奥歯のすぐ上には、「副鼻腔(ふくびくう)」と呼ばれる空洞が存在しています。虫歯の重症化によって、空洞へと細菌感染が拡大すると、「副鼻腔炎」を引き起こすことがあります。その結果、鼻水や鼻づまり、発熱などの症状が認められるようになります。
顎骨炎による発熱
虫歯が原因の発熱として、最も注意すべきなのは「顎骨炎」です。顎の骨の骨髄にまで細菌感染が広がることで発症する病気です。激しい痛みや非常に高い発熱、全身倦怠感などが生じます。抗菌薬を用いた薬剤療法が基本となりますが、完治させるのに1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
歯痛と発熱があるときの注意点
虫歯による痛みと発熱がある場合は、以下の点にちゅういしてください。
熱い湯船に入らない
熱い湯船に浸かると、全身の血行が良くなり、歯痛も強くなります。シャワーを軽く浴びる程度にとどめましょう。
アルコールを飲まない
アルコールも全身の血行を良くする作用があるため、歯痛と発熱がある際には控えるようにしましょう。体温も上昇し、痛みが増悪します。
患部をさわらない
痛みや不快感があると、どうしても気になって触ってしまうこともあるかと思います。患部に触れると、細菌感染や発熱を悪化させてしまいますので、控えるようにしましょう。
まとめ
このように、発熱と歯痛には、相互に密接な関連がありますので注意しましょう。風邪やインフルエンザが原因の歯痛であれば、まず内科を受診することが大切です。もともと重症化した虫歯がある場合は、歯科を受診してください。
-
2017/12/01医院情報