歯周病と関連が深い6つの全身疾患
歯周病は、歯周組織を破壊する口腔疾患です。それだけに、歯周病による影響は、お口の中に限定されるように思われがちですが、実はそうではありません。歯周病は、いろいろな全身疾患との深いつながりがあるのです。
◆糖尿病
糖尿病とは、血糖値をコントロールするインスリンに異常が現れる病気です。血糖値が高い状態が続くことで、網膜症や末梢血管障害など、さまざまな病気を引き起こします。その中のひとつに歯周病があります。糖尿病にかかると、末梢血管の循環が悪くなり、免疫力が低下することで歯周病にかかりやすくなるのです。
さらに、歯周病は糖尿病の症状を悪化することがわかっています。歯周病によって生じた物質が血管内に入り込むことで、インスリンの働きを阻害するからです。つまり、糖尿病と歯周病というのは、相互に悪影響を及ぼし合う病気といえるのです。
◆誤嚥性肺炎
誤嚥とは、食べ物などが誤って気管に入り込んでしまう状態で、その結果生じる肺炎を誤嚥性肺炎と呼びます。お口の中に歯周病菌などが繁殖していると、食べ物に付着した状態で機関へと侵入し、肺において感染を引き起こすのです。つまり、歯周病にかかっている高齢の方は、誤嚥による肺炎に注意しなければなりません。
◆早産や低体重児出産
妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが数倍にも上昇します。これは、歯周病によって生じた炎症性物質が血液に乗って子宮へと到達し、胎盤を刺激するためです。
◆心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の血管が血栓などによって塞がれる病気です。心臓の筋肉への血液供給が滞り、死に至ることも珍しくありません。これは、歯周病菌による刺激で動脈硬化が生じたり、血栓のもととなるプラークが血管内に形成されたりすることに由来しています。
◆骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨密度が低下する病気で、女性に発症しやすいです。とくに閉経後の女性の発症率が高く、閉経後骨粗鬆症という病名が存在するくらいです。これは、骨粗鬆症と女性ホルモンであるエストロゲンに深い関連があるためです。
エストロゲンの分泌が減少すると、全身の骨がもろくなっていきます。それは歯を支えている歯槽骨も例外ではありません。さらに、炎症性の物質も産生されやすくなり、歯周病の誘発、あるいは症状の増悪を招いてしまうのです。
◆アルツハイマー病
アルツハイマー病は、認知症の一種です。脳にアミロイドベータタンパクという物質が沈着することで発症します。そんなアルツハイマー病は、歯周病にかかっていることで症状が悪化する可能性が高いといわれています。国立長寿医療研究センターの研究グループが報告しています。
▼定期検診が何より重要
このように、歯周病はたくさんの全身疾患と関連している病気です。自覚症状に乏しい病気だけに、気付かないうちに病態が進行していることも珍しくありません。ですから定期的に歯科医院を受診して、お口の中の状態を診てチェックしてもらうことが何より重要といえます。
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2017/12/01医院情報