【虫歯の原因】虫歯が生じる7つの原因と予防法
虫歯の原因というと、「歯磨きをしていない」とか「甘いものをよく食べる」といったように、すべて本人の生活習慣が悪いかのように思われがちですが、実はそうでもありません。虫歯の原因は、人それぞれで大きく異なるのです。ここではそんな虫歯が生じる仕組みと、7つの原因について詳しくご紹介します。
1. 虫歯が生じるメカニズム
1-1 虫歯菌が歯面にバイオフィルムを形成する
私たちの歯には、ペリクルと呼ばれる薄い被膜が存在しています。ペリクルは唾液由来の糖タンパク質から成り、歯面を外来刺激から守ってくれています。ただ、その粘性から虫歯菌の足場となりやすく、やがてはバイオフィルムと呼ばれる有害な膜へと変化していくのです。バイオフィルムとは、簡単にいうと台所のシンクや浴槽にへばりついているヌメリで、そこには沢山の細菌が繁殖しています。
1-2 酸を産生して歯質を溶かす
歯の表面で繁殖した虫歯菌は、食物などに含まれる糖質を餌にして、副産物である酸を作り出します。この酸が、歯の表面に穴をあける虫歯の正体です。エナメル質や象牙質は、酸に対して非常に弱い性質があるのです。ただ、私たちの唾液には虫歯菌の酸を中和したり、溶けた歯質を元に戻したりする働きがありますので、本来であればそう簡単に歯が溶けてしまうことはありません。けれども、以下に挙げるような7つの原因を抱えていると、虫歯が生じてしまいます。
2. 虫歯が生じる7つの原因
2-1 不適切なブラッシング
毎日何気なく行っている歯磨きですが、本当に上手に磨けている人というのは、一部の人に限られます。やはり、習慣化している行為だけあって、ブラッシング法が自己流になりやすいのです。そこで、定期検診などで歯垢の染め出し試験を積極的に受けることをお勧めします。そもそも歯ブラシだけでは、歯垢を60%しか除去することができません。デンタルフロスを活用することで20%加算され、合計80%にまで到達できます。これだけで虫歯は予防することが可能です。
2-2 間食の回数と糖質の摂取量が多い
私たちの口腔内は、食事をする度に、酸性環境へと傾きます。その後、唾液の作用によって緩やかに中性へと戻っていくのですが、間食の回数が多いと唾液の働きが追い付かず、歯は常に酸性刺激に晒されることとなります。また、甘いものが好きで、糖質の摂取量が多い場合も、虫歯菌の活動が活発になるため、虫歯にかかりやすくなります。ですから、間食の回数を減らし、タンパク質や脂質、ビタミンなどの摂取量を相対的に増やすことで、糖質摂取量も減らしましょう。
2-3 歯質が弱い
虫歯になりやすいかどうかは、歯質によっても変わります。例えば、乳歯と永久歯を比べたら、元々エナメル質も象牙質も薄い乳歯の方が虫歯にかかりやすくなっています。それと同様、同じ永久歯であっても、人によって歯質の強さが異なるのです。そこでお勧めなのが歯科医院におけるフッ素塗布です。フッ化物は歯質を強化するため、虫歯予防には最適です。普段からフッ素入りの歯磨き粉を使うことも有効です。
2-4 口腔内の虫歯菌が多い
口腔内の虫歯菌の数も人によって異なります。当然ですが、虫歯菌が多ければ酸の産生量も増えるため、虫歯にかかりやすくなります。その分、沢山の唾液が必要になったり、念入りなブラッシングが不可欠となったりするのです。ちなみに、虫歯菌の量は歯科医院の唾液検査で調べることができます。
2-5 唾液の分泌量が少ない
唾液は、酸を中和するだけでなく、殺菌作用や抗菌作用も発揮します。さらに、歯質の再石灰化を促すことで、虫歯への抵抗力を高めているのです。そんな唾液の分泌量が少ないと、虫歯菌に抗うことができず、歯質が溶けていくのです。そこで唾液腺のマッサージを行ったり、食後にキシリトールガムを噛んだりして、唾液の分泌を促しましょう。
2-6 唾液の作用が弱い
唾液には、歯を守る上で有益といえる沢山の作用が備わっていますが、人によってその効果は異なります。同じ唾液量でも、酸の中和や歯の再石灰化作用が弱いことも珍しくありません。これは唾液に含まれている成分に由来していることなので、解決法としては、唾液の分泌量を増やすことが挙げられます。質を量でカバーします。
2-7 補綴物の劣化
口腔内に、詰め物や被せ物が入っていると、経年的に劣化していきます。具体的には、歯と補綴物の間に隙間が生じ、そこから虫歯菌が侵入しやすくなるのです。そういった補綴物は、再治療が必要となることが多いです。
3. 唾液検査で虫歯の原因と突き止める
歯科医院で受けることのできる唾液検査では、唾液中に含まれる虫歯菌の数や活動性、唾液の分泌量などを調べることができますので、具体的な対策方が見えてきます。
4. まとめ
このように、虫歯というのは単に歯磨きを怠っているだけでなく、患者さんご自身の体質や歯質の違いにも由来しているため、それぞれの原因に応じた予防法が必要となります。
かんばら歯科クリニック
院長 神原 佑介
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2017/12/01医院情報