いつから始めるべき?小児矯正の開始時期と具体的な矯正法について
矯正治療の開始時期というのは、「早ければ早いほど良い」というイメージをお持ちの方も少なくないかと思います。確かに、成人してからよりも発育途上にある子どもの方が治療の効果は高まります。ただ、年齢に応じて必要となる矯正処置は異なりますし、発育の速度も子どもによって様々ですので、一概に「早ければ早いほど良い」とは言い切れないのが小児矯正です。ここではそんな小児矯正を始める時期と具体的な治療方法について詳しく解説します。
治療開始に適した2つのタイミング
矯正治療は、大きく2つの時期に分けることができます。3~12歳くらいまでの時期と、12歳からそれ以降の時期です。それぞれ施す矯正法が異なるだけでなく、治療の目的も大きく異なってきます。
▼第1期治療(3~12歳頃)
第1期治療は、乳歯列期と混合歯列期に行われます。年齢的には、3~12歳頃のお子さまです。この時期の矯正治療は、歯をひとつひとつ細かく動かすことはほとんど行いません。なぜなら、乳歯はいずれ脱落しますし、顎の骨は発育途上にあるからです。ですから、永久歯をきれいに並べるために、顎骨を正常に成長させるのがこの時期の治療目的といえます。具体的には、顎の過成長や劣成長などを矯正装置で改善していきます。
▼第2期治療(12歳頃~成人)
第2期治療は、永久歯列期に行われます。全ての乳歯が脱落し、顎骨の成長も停止した時期に開始します。専門的には「本格矯正(ほんかくきょうせい)」と呼ばれる治療で、マルチブラケットによるワイヤー矯正が一般的です。第1期治療とは異なり、歯を1本1本、適切な場所へと動かしていくのが大きな特徴です。
どんな装置を使って矯正するの?
▼第1期治療の矯正法
第1期治療では、床矯正やマウスピース矯正によって、顎骨の成長を促したり、フェイシャルマスクによって上下の顎骨のアンバランスを整えたりします。
・床矯正
床矯正とは、樹脂製のプレートと金具によって構成された矯正装置で、顎の骨を外側へと拡大する治療法です。第1期治療では、最も一般的な矯正法の1つです。
・マウスピース矯正
ムーシールドやT4Kと呼ばれるマウスピース型の矯正装置を使って、受け口などの不正咬合を治す矯正法です。
・フェイシャルマスク
専門的には上顎前方牽引装置(じょうがくぜんぽうけんいんそうち)と呼ばれるもので、文字通り上顎骨の成長を促進します。その結果、受け口が改善されます。
第2期治療の矯正法
・ワイヤー矯正
個々の歯にブラケットを設置し、ワイヤーを通すことで歯を目的の場所へと動かしていく矯正法です。第2期治療では、最も一般的な矯正法です。
・マウスピース矯正
マウスピース型の矯正装置を用いた矯正法で、お子さま自身が取り外し可能です。透明な樹脂製なので、目立ちにくいというメリットがあります。
今すぐにでも矯正を始めた方が良いケースとは?
上述した通り、子どもの矯正治療を始める時期というのは、ある程度決まっています。ただ、以下に挙げるようなケースでは、すぐにでも治療を開始した方が良いといえます。
▼受け口(下顎前突)
下の顎が突出している不正咬合で、顔貌だけでなくかみ合わせにも悪影響が現れることが多いです。
▼開咬(かいこう)
自然にかみ合った時に、上下の歯列間に隙間が生じている不正咬合です。かみ合っているのは奥歯だけなので、前歯でものを噛み切ることが困難です。舌を突き出すなどの習癖が原因となっていることが多く、早期の治療が必要となります。
▼出っ歯(上顎前突)
上の顎や歯が前方に突出している不正咬合で、受け口と同様、顔貌や咬合に悪影響を及ぼします。
▼永久歯の生え方の異常
永久歯が斜めに生えていたり、本来生えて来る場所からずれていたりするようなケースでは、早期に対処することが大切です。そのまま放置すると、歯列全体の乱れへとつながっていきます。
小児矯正を受けるメリットとは?
小児期の初期治療である第1期治療を受けると、以下に挙げるようなメリットを享受できます。
▼顔の骨格が適正に成長する
小児期に矯正の初期治療を受けることで、正しい咀嚼機能を獲得でき、歯の交換も適切に進んでいくため、顔面骨格が適正な形で発育していきます。
▼永久歯がきれいに並ぶ土台が作られる
第1期治療によって、顎の骨の大きさや位置が改善され、歯が並ぶスペースが確保されると、永久歯は自然と適切な位置に生えるようになります。つまり、永久歯がきれいに並ぶための土台を作ることができるのです。
▼本格矯正の期間を短縮できる
第1期治療を受けることで、歯がきれいに並ぶための土台が整うため、第2期治療である本格矯正の期間を短縮することが可能です。
▼永久歯の便宜抜歯が必要なくなる
小児矯正によって、歯並びの土台である骨格や咀嚼機能が整うことで、永久歯列期における便宜抜歯の必要性が低下します。また、口元の悩みが解消され、自分に自信が持てるようになります。
まとめ
このように、小児矯正は第1期と第2期に分けられ、開始時期もそれぞれ異なります。特に第1期治療は、始める時期が大切ですので、お子さまの歯並びが気になる方は、まず矯正医に相談してみましょう。
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2017/12/01医院情報